●今までに日本画と自分の作品との関係性について意識したことがありますか?
1. はい
●1に該当した方。具体的にどのように意識しましたか?あるいはしていますか?
子供の頃、家族で着物に絵を描く仕事をしている者がおり家には日本画の図録がたくさんあった。よく親につれられて展覧会を見に行ったり、絵と言えば=日本画で、日本画は美術の中でも最も上級の芸術だと思っていた。本格的に美術を学ぼうと思った時も当然の様に日本画を選んだ。
それから今まで自分が作品を作るうえで日本画を意識しなかった事は一度もないです。
●自分の作品はしいていうなら何と呼ばれるのが望ましいですか?
あるいはどの様な位置付けで見られる事が望ましいですか?
現代美術 日本画 コンテンポラリーアート 前衛 日本美術 そのどれでもあると思う。現代の日本人のアート。
日本の伝統の延長線上にあり、さらに、新しい美術の歴史を作っていくものでありたい。
日本人ならではの表現を持ち、現代の社会やこれまでの文化を包括したうえでの表現を生み出したいと思っている。
※「日本画」と呼ばれることについては、まず「日本画」という言葉が一般的に何をさしているのか確認する必要があるとおもう。「日本画」という言葉には様々な現状が含まれている。
1日本画の画材技法を使って描いている絵画
2日本画の公募団体に所属して発表している、またはしようとしている。
3日本絵画の伝統的な様式で描いている絵画
4日本絵画の伝統の上に成り立っている絵画。
3と4は似ているけれど違う。また日本画と言われる作品のなかでも、12ではあるが3ではなかったり、3ではあるが2ではなかったりするものもあり、日本画という言葉が指すところは多様である。
「日本画」と言う言葉が123と言う意味で使われる時、私の作品は「日本画」ではない。
4の意味なら私の作品は「日本画」だといえる。またそのような意識で描いている。
●現在の様な作風に変化したのはいつ、どの様な事がきっかけですか?
思い当たる事があればお答え願います。
日本画との接点で語ると、美術工芸高校において日本画コースで学んだ。その頃は伝統的な日本画が最も優れた絵画の様式だと思っていた。とくに花鳥画の世界が好きでそんな絵を描いていた。
大学に入ってひきつづき日本画を学ぶが、現代美術などさらに幅広い芸術に触れる。それまで知らなかった世界がひろがり、現代美術を見ることや考えることが楽しくなる。そして、自分の制作についても、芸術における自己表現について考えるようになる。人物や建物に心の不安や葛藤を象徴させて、心象風景を描くようになる。しかし、自分が今生きて感じている事や表現したい事と、日本画という枠の中で一般的にするべき事とのギャップに4年間悩む。
大学を卒業して、より自由に本質的に描くということを考えるうち抽象へと作品が変化する。立体作品も作ったが、そこで自分は絵画の生み出す空間がおもしろいのだと確信を得る。作品は、日本画の岩絵の具の持つ物質性から生まれる絵肌と、筆跡やスクラッチのストローク、そして色彩を使って画面作りをし、自然など大きなイメージを表現するスタイルへと変化した。
関東の大学院に進む。東京と京都の日本画に対する価値観の違いの大きさに驚く。個人の信念や性質があるのみで、芸術に決められたルールなどないと言う事を改めて感じる。修了論文で日本美術の歴史、西洋美術の歴史、日本画のもつ矛盾と独自性などを自分の中で洗いなおす作業をし、これまで考えてきた事を整理する。
同じような抽象画が溢れかえっている中で、さらなるオリジナリティを追求して自己を掘り下げていく。筆跡の中から生まれる有機的な形態が気になり始め、イメージの中の有機的形態を描くようになる。
大学院を卒業、東京で教職に着く。有機的形態のイメージを日本画の岩絵の具でマチエールをつけて描いていたが、自分の作品の中でのマチエールの不必要性を感じる。無意識の瞬間に生まれでるフォルムやストローク、二次元空間のエッジの関係性が、自分が描きたいものの中心の魅力という考えに至り、画面から物質性を排除する。
その時の作品で受賞し副賞でNYに行く。自分が感じていた事と海外で起こっている事との同時代性を感じて、よりありのまま自由に制作するべく確信を持った。
旅をするようにいろいろな変化を経て、今に至ります。
身に着けそして再び余分な物を排除して、今は自分自身に一番近い自然な表現にたどりついたように思います。
●膠を使う方。濃度は何%ですか?あるいは水に対して何膠をどのくらいいれますか?
又、ドーサの濃度はどのくらいですか?
膠はいつも目分量なので%は言いにくいけど、三千本膠をボウルで、2本につき800cc?ぐらいです。絵の具を溶くときに水で調整します。うすめ具合は場所や季節の湿度にもよります。
ドーサは一本に1200〜ボウルいっぱいぐらい?ミョウバンを濃くしてはじく感じが好きです。ドーサびきも濃い目で絵の具を定着させるのが好きです。最近は岩絵の具を重ねず、水干で薄く均一に仕上げるので、仕上げはムラが出ないように定着するぎりぎりまで薄くします。
●日本画の画材に対する自分なりのこだわりなどはありますか?
私にとって日本画の画材は、自分が長年慣れ親しんだ、最も使いやすい画材です。
シンプルかつ優れた画材であり、面や線を描くことに置いてはアクリル等より秀でています。
また、現代の岩絵の具の発達のしかたは世界でも類を見ないと思う。それは日本人の性質や社会、歴史を象徴しています。
しかし明治以降日本絵画に「日本画」という名前がつき、現代において日本画の画材で描かないと日本画ではないというような流れになっているのは、日本美術の発展を大きく妨げているとも思う。
表現したいことにあわせて画材は選ばれるものであり、伝統や形式によって画材にこだわるのはナンセンスだと思います。
昔の人は身の回りにあるもの全てを使って工夫して美術品を作っていたはずです。
私もそのように自由でありたいと思います。
●あなたにとって日本画とは何ですか?
女性であること、京都生まれであること、日本人であること、などとおなじように、 切っても切り離せない自分の中の一部であると思います。




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