●今までに日本画と自分の作品との関係性について意識したことがありますか?
1.はい
●1に該当した方。具体的にどのように意識しましたか?あるいはしていますか?
中学、高校と油絵をやっていましたが、どうもオイルの臭いや質感、絵具の発色になじめずにいました。たまたま高3の時、美術の先生が日本画をやっておられ、岩絵具に接する機会があり、瞬間「これしかない!」と言う感じでした。当然、大学は日本画科に入学し、顔料の入った1両ビンを眺めては、にやついていました。最初のうちは『日本画』と言う言葉に何の疑問も持たず、自分の描いているものが、それだと勝手に認識していたのですが、公募展や、コンクールに出品するようになって、「日本画」てなんや?と疑念を抱くようになりました。岩絵具や染料を膠を使って定着させる技法ならインドや中国、朝鮮半島など各地で日本より古くから存在しましたし、表現としても写生(デッサン)をもとにした再現絵画的なものが主流でしたので、何を評して日本画なのかさっぱりわからなくなってしまいました。現在でもその答えは出ませんが、少なくともこのジャンルの顔料、染料から基底材、メディームにいたるまでの全てが私の体質にあっていて大好きであることは間違いありません。
●自分の作品はしいていうなら何と呼ばれるのが望ましいですか?
あるいはどの様な位置付けで見られる事が望ましいですか?
何と呼ばれるかはそれ程重要ではなく、位置付けもあまり限定しようと思いません。
●現在の様な作風に変化したのはいつ、どの様な事がきっかけですか?
思い当たる事があればお答え願います。
私の色好きのルーツは、間違いなく幼少期の駄菓子屋通いにあると思います、そう6 0年代ルール無用の着色料、メロン色、イチゴ色、レモン色、ブドウ色、ミカン色、 ターコイズブルーにショッキングピンクと七色に舌を染めた原体験にこそあるのです。
その流れで高校から浪人時代にかけて色彩構成と称してはポスターカラーや透明水彩、パステル等で毎日毎日落書きをしていました。
ところがその反動か大学から30代半ばあたりまで、もっぱら茶褐色の風景を描いていました。それでも色好きのDNAが騒ぎだし、まず教会のステンドグラスが壁や床に映った光を、母が亡くなった頃からは天然群青で空を描くようになりました。このあたりから素材にこだわるようになり、できるだけシンプルな抽象画で不可視なもの、人間の内面的ものを表現したいと考えるようになりました。
●膠を使う方。濃度は何%ですか?あるいは水に対して何膠をどのくらいいれますか? 又、ドーサの濃度はどのくらいですか?
膠→三千本膠2に対し京上膠1(墨を作るとき等に使う不純物が多く柔軟性に富むもの)
夏期→膠が固まりにくいのでやや濃度を高め、水100ccに対し膠12g
冬期→膠が固まりやすいのでやや濃度を低め、水100ccに対し膠10g
春、秋期→水100cc対し膠11g
礬水
夏期→膠が固まりにくく明礬が浸透しやすいので膠をやや多めで明礬はやや少ないめ。水1lに 対し京上膠15g、明礬6g。
冬期→膠が固まりやすく明礬が浸透しにくいので膠をやや少ないめで明礬はやや多いめ。水1lに対し京上膠13g、明礬10g。 春、秋期→水1lに対し京上膠14g、明礬8g。
●日本画の画材に対する自分なりのこだわりなどはありますか?
日本画の、、、と言う意識はないですが、古来より使われてきた天然顔料、染料は ほんとうに美しく、無限の可能性を秘めた素材だと思います。同時にこれらを生かすために基底材、メディウム、礬水、筆、刷毛、用具等にもこだわりたい。そして今後は墨について勉強したいです。
●あなたにとって日本画とは何ですか?
現在、一般的に日本画として認知されているものには、あまり興味がありません。しかし油絵や水彩画など主だったジャンルの絵具が工業化とともにチューブ化され化学合成された微粒子のみのものになってしまったなか、よりプリミティブな鉱物顔料や天然染料、良質のメディウム、基底材を現代にまでもたらしてくれたという意味では日本画なるものに感謝、感謝!



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